これまでのあゆみ

演奏会詳細

プロムナードコンサート 2005 春

日時 2005年3月19日(土) 19:00開演
会場 かつしかシンフォニーヒルズ
曲目 ベートーヴェン/管楽八重奏曲 変ホ長調 作品103
モーツァルト/交響曲第29番 イ長調 KV201
チャイコフスキー/弦楽セレナーデ ハ長調 作品48

曲目解説

ベートーヴェン/管楽八重奏曲 変ホ長調 作品103
ご来場の皆様こんばんは!貴重な週末の一晩、我々の演奏会にご来場頂き本当にありがとうございます。今の季節ですから、イチゴ狩りに行ってのんびり温泉旅行とか、アカデミー賞作品を観て夜は素敵なレストランでワイン片手に美味しいお食事とか、色々お楽しみありましたでしょうに…それにしても「早稲田室内管弦楽団」なのに、いきなり「弦」無しの演奏始まってしまいごめんなさい。実はこのオーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン各2本という組み合わせ、すごくいい響きがするのですね。この『管楽八重奏曲』も、この後演奏される『弦楽セレナーデ』のように、テレビCMで流れたりして有名だとよかったのですが(オー・ジ・ン・ジ!)…でも、ベートーヴェン22歳の作品だけあって、とてもイキイキしていますよ!余談ですが、演奏者は皆22歳以上です。というか、実際半分以上三十路…だけど「イキイキ感」出せるよう頑張って練習しました。
見所は、①向かって左前=オーボエの楽器の先っぽが上下するところ②右手前=クラリネットの超絶技巧(上手!!)③右手奥=ホルンのギリギリ感(難しい…)④左手奥=ファゴットは、うーんなんでしょう…息のあったコンビネーションでしょうか。全然曲目解説になってないです、すみません。自分自身コンサートに行っても曲目解説なんて読まないもので…でも、ここまで読んでくださったお客様は、どうか最後まで読んでくださいね。ありがとうございました。(ホルン・T)

モーツァルト/交響曲第29番 イ長調 KV201
モーツァルとの交響曲第29番はウィーン旅行後に書かれた5曲の交響曲の中で、25番とともに傑作とされています。この曲にはウィーンで体験した交響曲や室内楽の様式が、それまでのイタリア様式と巧みに融合され、その特徴は両端楽章の主題の統一性、各楽章内部での多主題性、メヌエット楽章以外が全てソナタ形式で書かれている点、再現部の後に独立したコーダをもつといった点に現れています。楽器編成は弦五部にオーボエ、ホルン各2本という室内楽的な編成であり、晩年の交響曲に通じる緻密さを持っています。
第1楽章の第一主題はヴァイオリンの下降オクターブで始まり、各声部が次第に立体的に絡み、管楽器が加わる部分ではカノン風になるなど、緻密な書法をみせています。第2楽章は複付点のリズムが特徴的なメロディを弱音器をつけたヴァイオリンがしっとりと優雅に歌い、内声がそれを一層深いものに。第3楽章は、これも付点音符がリズミカルな主部と、対照的に流麗で叙情的なトリオからなっています。第4楽章は第1楽章の第一主題と同様のオクターブ下降で始まり、軽快で活気に満ち、緊張感のあるフィナーレ。展開部は第一主題の動機が反復され、コーダで力強く全曲が結ばれます。(ヴァイオリン・K)

チャイコフスキー/弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
この『弦楽セレナーデ』は1880年の作品です。1880年代は、チャイコフスキーの創作生活の中では、どちらかといえば一般的にはあまり評価されていない時期にあたります。1877年の交響曲第4番から1888年の交響曲第5番までの間、創作の谷間に位置するとされているからです。また、この時期は教え子との結婚に失敗し、精神的にも大きな危機を迎えた時期でもありました。
しかし、チャイコフスキーはその創作活動を支える上で重要なパトロンとなったメック婦人宛の書簡の中で次のように述べています。「芸術家は霊感を待っていてはいけない。それは怠惰なものを訪れるようなものではなく、自らそれを招くもののところにだけやってくる」(1878年7月7日)と。彼はこの言葉通り勤勉に創作活動を続け、実際、高度な熟練に支えられた作品群をこの時期に生み出しているのです。この『弦楽セレナーデ』もそうした作品の一つと位置づけられるでしょう。
チャイコフスキーはロシア音楽の中で西欧派とされますが、その音楽は西欧的である一方でロシア的な叙情性をたたえたものとなっています。この曲においても、第1楽章は自分が特に愛着を感じているモーツァルトへのオマージュであると述べており、弦楽だけによる純粋な形式美、均整美を目指しながらも、チャイコフスキーならではの美しいメロディが展開される名曲となっています。(ヴァイオリン・H)

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